「痛いけど、言えない」
セックスの最中、ずっとそう思ってきた人は、あなただけじゃありません。
実は10〜20代女性の53.6%——つまり2人に1人以上が、セックスで痛みを経験しています。それなのに、痛みを誰かに相談できた人はわずか28%。残りの7割以上が、誰にも言えないまま、我慢を続けています。
「こんな自分がおかしいのかも」「彼氏に言ったら嫌われるかも」——そう思って黙ってきたなら、まず知ってほしいことがあります。
痛みの原因は、あなたの体が「壊れている」からじゃない。
プレケア=プレジャーケア(女性用風俗 / 女風)のセラピストとして、延べ2,000人以上の女性の体に触れてきた僕が、現場で感じてきたことと科学が明らかにしているメカニズム・対処法を、正直にお話しします。
セックスが痛いのは「あなただけ」じゃない|10-20代の53.6%が経験
施術をしていて思うのは、「体がガチガチに緊張している女性が本当に多い」ということ。10人来たら7人は緊張してる。緊張していない人の方が珍しいくらいです。
特に下半身やお腹周りの緊張が強い人が多くて、初回の方はなおさら。初対面で、密室で、これから裸を見せる——緊張しない方がおかしいですよね。
そしてカウンセリングで「今まで気持ちよかった経験はありますか?」と聞くと、こう返ってくることがすごく多い。
「実はイったことがなくて…いつもセックスが痛いんです」
特に20代の女性に多いんです。中には「セックスは気持ちいいものじゃなくて、彼氏のために我慢するもの」という認識で来る方もいます。
数字が示す「言えない痛み」のリアル
| データ | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 10〜20代女性の性交痛経験率 | 53.6% | ジェクス ジャパン・セックス・サーベイ 2024 (N=5,029) |
| 30代女性の経験率 | 62.1% | 同上 |
| 20-29歳の有病率(世界) | 13%(50-60歳の2倍) | StatPearls 2024 |
| 痛みを医師に相談した割合 | わずか28% | Population study |
2人に1人以上が経験しているのに、7割以上が誰にも言えずにいる。
打ち明けてくれる方も、みんな共通して「申し訳なさそうに」言うんですよね。「こんな自分で来ちゃってよかったですか?」って。「不感症なんですけど、大丈夫ですか?」って。
でも正直、僕はそう言ってくれた時がすごく嬉しい。パートナーにも言えない、20年、30年の人生で誰にも打ち明けられなかったことを、話してくれたわけだから。
なぜ痛い?「入口の痛み」と「奥の痛み」の原因を科学で解説
セックスの痛み(医学用語では「性交痛」と呼びます)には、大きく分けて2つのタイプがあります。
入口付近の痛み
挿入の最初に痛みを感じるタイプ。原因として多いのは:
- 潤滑不足: 最も多い原因。前戯が不十分だったり、緊張で体が硬くなっていると、十分に潤わないまま挿入されてしまう
- 前庭部痛症(ぜんていぶつうしょう): 膣の入口付近の粘膜が過敏になっている状態。10-20代に多い
- 膣痙攣(ちつけいれん): 挿入への恐怖や不安で膣の筋肉が無意識に収縮してしまう
奥の方の痛み
挿入が深くなると感じる痛み。原因として多いのは:
- 子宮内膜症: 子宮の内膜が本来ない場所に増殖する疾患。生理痛がひどい人は要チェック
- 骨盤内の炎症: クラミジア等の感染症が原因の場合も
- 子宮筋腫: 子宮にできる良性の腫瘍
あなただけの問題じゃない——男性側の原因も
これは現場にいるからこそ言えることなんですけど、僕の経験上、ほとんどの場合は男性側に問題がある。女性はみんな感じられるんです。ただ、やり方が合っていないだけ。
- ペニスのサイズが合っていない: 経験人数が少ないと、パートナーのサイズが大きいかどうかもわからない
- 前戯をしない・雑: 体が十分にほぐれていない状態で挿入すると、痛くて当たり前
- 爪が伸びている: 指で触れる時に粘膜を傷つけている
- 挿入時間が長すぎる: 潤いが持続する時間には限界がある
ちゃんとほぐしてから挿入するのが大事で、前戯なしで挿入して痛くないわけがないんです。
もしこれ読んで心当たりがあるなら、あなたの体が悪いんじゃなくて、やり方の問題。それだけで痛みが大きく変わることもあります。
「痛い→怖い→もっと痛い」悪循環の正体
「セックスが毎回痛い」という人の中には、体の問題だけじゃなくて、心と体の悪循環にハマっている人がいます。
最近の研究(2024年、N=543)で裏付けられたのが、恐怖回避サイクルと呼ばれるメカニズムです。

実際に僕のお客さんにも、まさにこの悪循環にハマっていた女性がいました。
彼氏と1年付き合っていて、一度も最後までセックスできたことがない。理由は、痛くて毎回途中でやめていたから。聞いてみると、初めてした時にすごく痛くてやめたけど、「彼氏に応えてあげないといけない」と思って週1で我慢して続けていた。でも、痛みを我慢するたびにセックスという行為自体がどんどん嫌になって、体がどんどん遠のいて、濡れなくなっていった——それでも我慢してしていたんです。
これがまさに恐怖回避サイクルそのもの。研究でも、「潤滑不足」が痛みの最も一貫した予測因子だということがはっきり出ています。不安で体が緊張する→潤いが足りなくなる→痛い、という流れです。
「体を見られるのが怖い」も痛みに直結する
海外の複数の研究(21研究、計1,592人)でも裏付けられていて、痛みを最も強く予測した要因は「身体露出不安」——つまり、自分の体を相手に見られることへの不安だったんです。
裸になること自体が怖い。自分の体に自信がない。そうした気持ちが、骨盤底筋の緊張を引き起こし、痛みにつながる。自己肯定感と体の関係については、こちらの記事でも詳しくお話ししています。
施術でもこれは感じます。「心がほぐれることが体がほぐれる」——これは僕が現場で何度も実感してきたこと。体が緊張していると、膣の中や下半身も緊張して、痛くなってしまうんですよね。
だから「痛みを我慢する」のは、実は一番やってはいけないこと。我慢するほど体が「セックス=痛いもの」と学習してしまい、悪循環がどんどん強くなるんですよね。
今夜からできる5つの対処法
悪循環を断ち切るために、今日からできることがあります。

① 潤滑剤を「正しく」使う
潤滑不足が痛みの最大の原因である以上、潤滑剤は最も即効性のある対処法です。
選び方のポイント:
- 水溶性タイプ: コンドームとの相性◎、洗い流しやすい。まずはこれから
- シリコンタイプ: 長時間潤いが持続。水溶性で足りない場合に
使い方:
- 挿入の前だけでなく、前戯の段階から使う
- 膣の入口だけでなく、相手のペニスやコンドームにも塗る
- 途中で乾いてきたら追加してOK。遠慮しなくていい
「潤滑剤を使うのは恥ずかしい」と感じる人もいるかもしれないけど、これはセルフケアです。目が乾いたら目薬をさすのと同じこと。
② 骨盤底筋を「ゆるめる」トレーニング
膣トレというと「鍛える」イメージが強いけど、性交痛の場合は逆効果になることがあります。骨盤底筋が過緊張(ずっと力が入っている状態)の場合、さらに鍛えると余計に硬くなってしまう。
大事なのは「ゆるめる」こと。
やり方(3秒収縮→3秒弛緩法):
- 仰向けに寝て、膝を立てる
- 膣をキュッと3秒間締める
- 3秒間、意識的にゆるめる(ここが重要)
- これを10回×3セット
「ゆるめる」方に意識を集中するのがポイント。骨盤底リハビリの臨床試験(N=64)では、12週間で痛みが7.3ポイント改善したってデータがあります。
③ セルフタッチで自分の体を知る
女性は本当に自分の体をわかっていない人がすごく多い。オナニーしたことがなくて、自分のどこが気持ちよくて、どこが痛いかもわからないまま、セックスしている人がたくさんいます。
まずは自分の体と対話することから始めてみてください。
- お風呂の中で、デリケートゾーンを優しく触ってみる
- どこに触れると心地よくて、どこに触れると緊張するか、観察する
- 「気持ちいい」と感じる場所や触り方を見つける
自分の体を知ることが、パートナーに「ここはこうしてほしい」と伝える第一歩になります。セルフプレジャーに抵抗がある方は、まずこちらを読んでみてください。
自分の体をもっと深く知りたい方は、こちらも参考になります。
④ マインドフルネス呼吸法
「次も痛いかも…」という破局化思考を断ち切るのに、マインドフルネスが有効です。
2024年のレビューでは、マインドフルネスで実際に痛みが減って、しかも1年後も効果が続いたってデータがあります。一時的なものじゃないんですよね。
セックスの前にできる3分間の呼吸法:
- 目を閉じて、4秒かけて鼻から吸う
- 4秒間息を止める
- 8秒かけて口からゆっくり吐く
- これを5回繰り返す
ポイントは、「痛くないように」と考えるのではなく、呼吸の感覚だけに意識を向けること。不安な思考から「今、ここ」に意識を戻すだけで、体の緊張がゆるみます。
⑤ パートナーへの伝え方
5つ目は、パートナーに「痛い」を伝えること。ポイントは「痛い」を「こうしてくれると嬉しい」に変換すること。否定形じゃなく肯定形で伝えるだけで、男性の受け取り方が全然変わります。具体的な伝え方はこの先のセクションで詳しくお話しします。
自分だけでは届かない「体の緊張」がある
ここまでのセルフケアは、自分一人でできることです。実際、多くの方がこれだけで痛みが軽くなります。
ただ、正直に言うと、セルフケアだけでは届かない緊張もあります。
施術をしていると、温かいオイルで全身をほぐしていくうちに、ガチガチだった体がゆるんでいく瞬間があります。それは自分の手だけでは難しい。背中、腰、骨盤周り——自分では触れない場所に、ずっと溜まっていた緊張がある。
そして何より、誰にも言えなかった悩みを受け止めてもらえた瞬間に、体がほぐれる人がすごく多い。
15分のマッサージで安心ホルモン(オキシトシン)が増えるって研究もあって(N=95)、経験豊富な施術者ほど鎮痛効果が高いってデータもあります。
東京裏彼氏(ウラカレ)に来てくれた方の中にも、今までセックスにネガティブだった人が「気持ちいいものなんだ」と初めて思えた——そういう瞬間に立ち会えることがある。体がほぐれて、自分の感覚に気づけた瞬間。
女性みんな感じられる才能がある。みんな気持ちよくなれる。絶対に大丈夫です
これは僕がいつもカウンセリングで伝えていること。セクシャルウェルネスそのものだと思うんですよね。
人生は長くて、性行為は男女共にずっと続くもの。それが「楽しいもの」「いいもの」だと思えるきっかけになれたら、僕たちの仕事には意味がある。
もちろん、これは「治療」じゃないし、病院の代わりにはなりません。ただ、安全な環境で「心地いい」を体験することが、恐怖回避サイクルを弱めるきっかけになるのは、科学的にも筋が通っている話です。
もし「自分もそうかも」と思ったら、まずはセルフケアから始めてみてください。それでも一人では難しいと感じた時は、安全な環境でプロのプレジャーケアを受けるという選択肢もあります。
「痛い」をパートナーに伝える3ステップ
これ、めちゃくちゃ難しいですよね。
男性ってプライドが高くて、自分は上手いと思っている人が多い。だから素直に「痛い」「気持ちよくない」と言うと、傷つけてしまうことがある。わがままな生き物なんです、男って。
だからこそ、伝え方にはコツがあります。
ステップ1: 否定形じゃなく、肯定形で伝える
✕:「そこ痛い」「気持ちよくない」
◎:「もっとこうしてくれた方が嬉しいかも」「こうしてくれると気持ちいい」
「痛い」を「こうしてくれると嬉しい」に変換するだけで、男性の受け取り方が全然違います。
ステップ2: 褒めて誘導する
「前戯してくれるの、すごく嬉しい」
「○○くんがこうしてくれてる時、めっちゃ興奮する」
やってほしいことを、肯定の形でリクエストする。男性は褒められると、もっとやろうとします。
ステップ3: セックスの「外」で話す
ベッドの上で言うのはハードルが高い。だからソファでくつろいでいる時とか、ドライブ中とか、リラックスした場面で「最近ちょっと思ってることがあるんだけど」と切り出す。
「あなたのことは好き。だからこそ、もっと二人で気持ちよくなりたい」——この前提を伝えた上で話すと、男性も受け入れやすくなります。
セックスレスの悩みも抱えている方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。
こんな時は婦人科へ——受診のハードルを下げる3つのヒント
セルフケアで改善しない場合や、以下の症状がある場合は、婦人科の受診をおすすめします。
受診のサイン:
- 毎回痛みがあり、潤滑剤やセルフケアでも改善しない
- 生理痛がひどい(子宮内膜症の可能性)
- おりものの異常や出血がある(感染症の可能性)
- 痛みが日に日にひどくなっている
「婦人科に行くのが恥ずかしい」と感じる気持ちはわかります。でも、性交痛は婦人科では珍しくない相談です。
受診のハードルを下げるヒント
① 女性医師のクリニックを選ぶ
同性の方が話しやすいなら、女性医師が在籍するクリニックを探してみてください。最近はWebサイトで医師の性別を確認できるところが多いです。
② 事前にメモを用意する
診察室で緊張して言えなくなることもある。「いつから痛いか」「どこが痛いか(入口?奥?)」「どんな時に痛いか」をメモしておくと、スムーズに伝えられます。
③ オンライン診療という選択肢もある
対面が怖ければ、オンライン診療から始めるのもアリ。まずは話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。
我慢でも諦めでもない、「プロのプレジャーケア・セラピスト」という選択肢
ここまで読んで、セルフケアを試してみようと思った方もいれば、「一人でやるのは不安」「誰かに相談したいけど、婦人科はまだハードルが高い」と感じた方もいると思います。
そんな時、もうひとつの選択肢として知っておいてほしいのが、プロのプレジャーケアです。
あの悪循環——「痛い→怖い→緊張→もっと痛い」を断ち切るには、安全な環境で「心地いい」を体験することがきっかけになります。
僕たち東京裏彼氏(ウラカレ)のプレケア=プレジャーケアでは、必ず温かいオイルでの全身マッサージから始めます。カウンセリングであなたの不安を聞いて、体をほぐしてから、あなたのペースで進める。「痛い」と思ったらいつでも止められるし、嫌なことは「嫌」と言っていい。
「セックスは我慢するもの」だと思ってきた人が、初めて「気持ちいいってこういうことなんだ」と思えた——そういう瞬間に立ち会えることが、僕にとって何よりの喜びです。
まずはセルフケアから。それでも一人では難しいと感じた時は、プロの手を借りるという選択肢もあります。
パートナーがいても利用できるか不安な方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

よくある質問
Q.セックスの痛みは治りますか?
多くの場合、原因に応じた対処で改善します。潤滑不足が原因なら潤滑剤やセルフケアで。心理的な要因が関わっている場合は、マインドフルネスやカウンセリングが有効です。骨盤底リハビリで痛みが7.3ポイント改善したというRCTのデータもあります。「一生このまま」ではありません。
Q.潤滑剤はどれがいいですか?
まずは水溶性タイプから試してみてください。コンドームとの相性が良く、洗い流しやすいです。ドラッグストアや通販で購入できます。シリコンタイプは長時間の潤いが必要な場合に。デリケートゾーン専用の保湿剤を日常的に使うのもおすすめです。
Q.初めてだから痛いのは当たり前ですか?
「初めてだから痛い」は半分正しくて半分間違い。緊張や不安で体が硬くなっていることが主な原因で、経験を重ねれば改善することが多いです。ただし、毎回痛い場合は「慣れ」の問題ではなく、前戯の不足や体の過緊張が原因かもしれません。我慢し続ける必要はありません。
Q.産後の痛みはいつまで続きますか?
産後2〜6ヶ月で43%の女性が性交痛を経験し、6〜12ヶ月でも22%が持続するというメタ分析のデータがあります(22研究、N=11,457)。授乳中はホルモンの影響で膣が乾燥しやすくなります。産後の体は時間をかけて回復するので、焦らず、潤滑剤の活用や骨盤底筋のケアを取り入れてみてください。
Q.パートナーにどう伝えればいいですか?
「痛い」と否定形で伝えるのではなく、「こうしてくれると嬉しい」「気持ちいい」と肯定形で伝えるのがコツ。セックスの最中ではなく、リラックスした場面で「もっと二人で気持ちよくなりたい」という前提で話すと、受け入れてもらいやすくなります。詳しくは本文の「パートナーに伝える3ステップ」を参考にしてみてください。
REFERENCES
- ジェクス (2024). ジャパン・セックス・サーベイ 2024 (N=5,029)
- StatPearls (2024). Dyspareunia
- Network Analysis (2024). Fear-avoidance model in sexual pain. Journal of Sex Research
- Chisari, C. et al. (2020). Psychosocial factors in vulvodynia: Systematic review
- Ghaderi, F. et al. (2019). Pelvic floor rehabilitation for dyspareunia: RCT (N=64)
- Brotto, L. & Altas, B. (2024). Mindfulness for sexual pain
- Clark Donat, L. et al. (2022). Mindfulness for chronic pelvic pain
- Morhenn, V. et al. (2012). Massage increases oxytocin (N=95)
- Mekhael, M. et al. (2023). Oxytocin pain meta-analysis (14研究, N=1,504)
- Postpartum dyspareunia meta-analysis (2020). 22研究, N=11,457
- Population study: dyspareunia consultation rate






